構想集 An Editor’s Suggestions

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構想集

編集者になった気持ちで、このような研究、このような書があったらと考えたことを以下に記すこととする。これらの構想を書にまとめ上げる方の登場を待ち望んでいる。あるいは筆者自身が書くこともあるかも知れない。そんな創造の競争が生まれれば楽しい。もっともさしあたり筆者にはその時間も能力もない。なお、これらの構想を実際のものとした方には、謝辞の片隅にこの記事を挙げていただければ本当にうれしい。

新井白石「史疑」をめぐるミステリー

新井白石の「史疑」はなぜ失われたか。


新井白石の作品は比較的よく残っている。それらは、新井家でも丁寧に保管され、また、一部は徳川家に献上された。それではどうして「史疑」がなくなったのか。何か公表をはばかられることが記されていたとみるのが最も自然ではなかろうか。公表がためらわれているうちに、その所在が人々の記憶から失われてしまったのか。それとも、いまだに密かに保管されているのか。これを発見すれば、その意義は極めて大きい。


小説の題材にでもなりそうな話である。ちょうどウンベルト・エーコが失われたアリストテレスの著作なるものについての物語を書いたように。 なお、史疑とともに、おそらくは政治論集と思われる方策合編も失われている。人物叢書294(古史通の項参照)による。なお、白石全集は、1905年から1907年にかけて出版された(同人物叢書301)。

「史疑」の紛失をめぐる小説の構想


何者かが密かに保管しており、それをめぐって争奪劇が演じられるというのもおもしろいかも知れない。藤沢周平に白石の伝記的な小説として『市塵』がある。「史疑」が白石最後の作品として描かれているが、それ以上の記述はない。当時、藤沢氏にも同じような構想があり、それを暗示しているのかも知れない。

あるいはまた、再利用写本(palimpsest)から断片が発見されるといった物語も考えることができる。パリンプセストについては、L.D. レイノルズ、N.G. ウィルソン/西村賀子、吉武純夫訳『古典の継承者たち ギリシア・ラテン語テクストの伝承にみる文化史』(1996年、国文社)が詳しい。

山本義隆『磁力と重力の発見』の英訳書籍版の出版

(2023/12/24追記: 当初、本書の英訳一般を構想として記したところ、既に2017年にKindle版が出版されていることを発見した。The Pull Of History: Human Understanding Of Magnetism And Gravity Through The Agesがそれである。引き続いて書籍版が出版されることを切に願う。)

この種の科学史に関する著作は世界的に常時人気があり、様々なものが出版されている。本書のすばらしさは別のノートに書いたとおりである。

山本義隆『16世紀文化革命』の英訳出版

同じく山本義隆著。そのすばらしさについては、別のノートを参照。

ジェイムズ・バーナムの伝記の翻訳

Daniel Kelly,; James Burnham and the Struggle for the World — A Life —の翻訳。バーナムは、ソビエト連邦との冷戦における西側の強力な理論家であり、イデオロギー戦線において勝利に大きく貢献した。本書はその伝記であり、これを翻訳して紹介する意義は大きい。彼の人生を通じて、一つの歴史的世界が浮かび上がる。同書の内容については、別ノートに記した。

なお、この翻訳については、ある出版社に一読者の提案として勧めたことがある。出版社の常か、その後何の音沙汰もない。しかし、今日、翻訳の意義はますます高まっていると思う。

John Reed, “Snowball’s Chance”の翻訳出版

同書の詳細は、別ノートを参照のこと。

陳独秀ら20世紀初頭における中国知識人の日本留学についての研究

陳独秀に関する書を2つ読んだが、日本留学時代については、詳細がいまだ不明のようである。日本国内の記録や文献に何か手がかりは残されていないのだろうか。陳独秀に関する別ノート及び毛沢東に関する別ノートを参照のこと。

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