柴田三千雄 フランス革命 Michio Shibata French Revolution

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柴田三千雄 フランス革命

October 9, 2019 ;

柴田三千雄;フランス革命;

本書は、セミナー講義の形式で著者のフランス革命論を簡潔に述べている。フランス革命原因論の部分を簡単に要約すれば、次のとおりである。フランス革命前、貴族とブルジョアは一体化し、ブルジョアにとっては貴族への階級的上昇が致冨の目的となっていた。しかし、その上昇の機会は次第に閉じられていった。また、王権は中間団体を消滅させつつ伸張した。これらが社会に様々なストレス・ゾーンを生み出し、人々を反抗に駆り立てた。

一方、当時、農業の不振等により、食料等が高騰し、大衆の不満を高めていた。

また、王権は、戦費の負担に耐えられず、これを租税として転嫁しようとしたが、貴族が抵抗した。

これらの状況の組合せがフランス革命を導いた。柴田三千雄には、別著、フランス革命はなぜおこったか、があり、内容においてほぼ同旨である。

フランス革命はなぜおこったか

..Date: 2012.11.18;121029,

柴田三千雄;

フランス革命はなぜおこったか‐革命史再考;

1789年に至る過程を丹念に分析する。著者の遺作であり,弟子がまとめたもの。

フランス革命を大西洋革命(大西洋両岸における経済発展とそれに伴い戦争をももたらした国際秩序の変動と主権国家体制の展開)の一過程としてとらえる。

また,アンシャン・レジームを現実的に分析し,国王の権力が慣習法によって縛られ,貴族及び教会の二つの特権層がそれを利用して王権にしばしば対抗したこと,国王の権力は様々な中間的社団の規範と影響力に頼らざるを得なかったこと,租税徴収もこれらの要因によって制約されていたこと,一方,発展するブルジョアジーは,官職及び貴族の地位を買うことによって社会的上昇を果たし,王権と一定の妥協的関係にあったが,上記国際秩序の変動の中でアメリカ革命の支援や七年戦争による財政負担による国王財政の行き詰まりによって,その道も狭められ,特に弁護士や文筆業者の間に身分制に対する不満が高まっていたこと(ストレス地帯と称されている)などを指摘している。

こういった状況の下で,戦費等の負担に耐えられなかった王政は,特権層をも含めた国民に対する課税強化を打ち出し,高等法院(それは,国王の定める法を審査し,承認を拒否する権限を持っていた。この場合,国王は親臨法廷を開いて当該法の承認を強制する権限を持っていたが,その行使は必然的に特権層との政治的衝突を意味した)との衝突と抗争を経て,遂に全国三部会を開催せざるを得なくなった。

この情勢は,上記ストレス地帯を含めて,ブルジョアジーやミラボー等の開明的貴族・僧職者を始めとする,各階層の政治行動を解き放ち,身分別の評決を拒否する「国民議会」の創設を導いた(球戯場の誓い)。そして,それは,都市及び農村における食糧危機と結びついた民衆の直接行動の力をも用いて王権を打倒するに至る。

残念ながら,この後の時代の分析はない。フランス革命の起源を実証的に考え抜いた書として,すばらしい。序の内容から見ると,著者は,明治維新についても世界史的な文脈の中でフランス革命との関連や対比をも視野に入れて分析することを考えていたものと思われる(p。8,9)。

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