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本居宣長 石上私淑言(いそのかみのささめごと)
..Date: 2013.05.14;
本居宣長;石上私淑言(いそのかみのささめごと),本居宣長集,新潮日本古典集成所収;
驚くほど論理的で明快な文章である。ほとんど,眺めるだけで理解できる。
古文について,このような経験をするのは初めてである。
多岐にわたる問に答える問答式の歌論であり,「もののあはれ」が有情物の心の感興一般を意味し,悲哀の感情に限られないこと,後世それが主として悲哀を意味するに至ったこと(悲哀は比較的強い感情であるがゆえに),「うた」は,物語に対立し,もののあはれを「文(あや)」として美しく表現するものであることなどを論じる。
5言,7言が中心になったのは,短い語句は長く,長い語句は短く発声され,おのずから5,7に収斂したことによると説く。(リズムの快さが前提となっているものと思われるが,明示されていない。)なお,字余りについて,古い時代には,一定の母音が語句の途中にある場合にのみ許容されたと説くのは興味深い。途中にある母音ゆえに調べを調節できたことがその理由であるという。
すばらしい。